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無響室や防音室内の耳鳴りや違和感について
2025/05/01
- 無響室・防音室のソノーラ
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無響室や防音室は、室内の壁や天井面に吸音処理をされており、非常に静かな空間であるため、室内に入るとツーンという「違和感」を感じたり、「耳鳴り」がする場合があります。
この理由は下記の2点です。
- 吸音がされている
- 非常に静かである
つまり、高い遮音性と吸音性のある部屋はこのような現象が起こりやすいといえます。
しかし、違和感や耳鳴りが起こるから「高性能」だとは一概にはいえません。
高性能の無響室、防音室でも違和感が少ないものも存在します。
周波数のバランス
以下の3つの画像を御覧下さい。

フラット

カマボコ

ドンシャリ
※ 横軸が周波数、縦軸が音圧です
上から順番に、フラット、カマボコ、ドンシャリという表現をしています。これらは音楽でよく使われる言葉で以下のような特徴があります。
フラット | 低周波域から高周波域まで均一な音圧 |
---|---|
カマボコ | 低周波と高周波の音圧が低く、中域の音圧が大きい状態 |
ドンシャリ | 低周波と高周波の音圧が高く、中域の音圧が低い状態 |
フラットと比較すると、カマボコとドンシャリは周波数のバランスがずれている状態です。
* 音楽:フラットはクラシックやジャズ、カマボコはボーカルメインやバラード曲(極端にカマボコにすると、AMラジオや電話のようになります。)、ドンシャリはEDMやロックなどに向いていると言われています。
周波数のバランスが悪いとどうなる?
フラットと比較し、周波数のバランスが悪いと人の耳には「違和感」を感じます。これが、無響室や防音室の吸音のバランスにより発生してしまうことがあります。
吸音材の吸音性は高い周波数ほど発揮しやすい→高い音は吸収しやすいです。
無響室や防音室内では、特に高い音はほぼ吸音されてしまいます。この際に、低周波域の吸音性が低いと、高い音だけが極端に吸音され、室内の音響バランスが崩れた状態になりやすいです。
人の感覚では、特に2〜6KHzの音が吸音され、低周波域の吸音性が不足すると脳が以上と判断し違和感や耳鳴りが発生します。
違和感や耳鳴りが起こるから「高性能」だとは一概にはいえません。
しばしば、防音の専門家でも、無響室や防音室の吸音性について、室内の聴こえに違和感が起こるから高い吸音性能だと感覚で判断される方もいます。
間違いではありませんが、それは高周波域の吸音がされているという状況を表しているにすぎません。
高周波域の高い吸音性を維持し、低〜中域の吸音性を高めると吸音のバランスがフラットに近づき、聴こえも変わってきます。
つまり、室として低域まで含めたより高い吸音性を体感すると、違和感はなくなっていきます。
半無響室を例にすると、半無響室は室サイズが大きくなればなるほど低域の吸音性が増します。実際に大型半無響室に入ったことのある方ならわかるとおもいますが、小型無響室と比較すると、大型半無響室は静粛性は高くても、吸音による独特な「ツーン」という感覚は低い傾向にあります。
ですので、室内に入ってツーンという感覚がなくても、かなり吸音がされている室もありますので、高周波域に限った感覚で室の吸音性を判断することは難しいです。
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