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サステナブルな音響空間 〜モジュラー式無響室が未来を変える〜
2025/06/30
- 無響室・防音室のソノーラ
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- サステナブルな音響空間 〜モジュラー式無響室が未来を変える〜

解体できない無響室はもう古い?
これまで、無響室といえば一度施工したら壊すまで使い続けるのが当たり前でした。
その構造には接着された吸音材、固定されたパネル、打設された遮音層など、分解・再利用が困難な要素が多く含まれています。
しかし近年、建設・製造業界ではサステナビリティ(持続可能性)が強く求められています。
「使い終わったら捨てる」のではなく、「分解して再利用する」という考え方。
それは、音響空間=無響室の設計にも広がりつつあります。
モジュラー式無響室とは?
モジュラー式無響室(Modular Anechoic Chamber)は、以下のような特長を持つ再構成可能な音響空間です:
- 遮音パネルや構造体をユニット単位で設計
- 試験目的やレイアウトに応じた拡張・再構築が可能
- 施工期間が短く、仮設や拠点移転にも柔軟に対応
- 必要に応じて部分更新やサイズ変更が可能
特に、音響試験を期間限定で行いたい研究開発施設や、拠点移転が前提の企業環境において、その利便性と持続可能性が評価されています。
解体できるから、サステナブル
従来の無響室では、廃棄時に以下のような課題がありました:
- 吸音材と接着材の一体構造により分別が困難
- グラスウール材の粉塵飛散や特別管理廃棄物への該当リスク
- 焼却・埋立による環境負荷、撤去作業の高コスト化
一方、ソノーラのモジュラー式無響室は、再構成を前提に設計された構造であり、用途変更や移設後の再利用が可能です。
- 遮音パネルや支持構造はユニット構成で柔軟な再展開に対応
- 吸音楔(BFシリーズ)は長期使用を前提に設計され、必要に応じて交換が可能
- ただし、吸音楔の再利用には制限があり、剝離時にタイベック®表面材が破損することがあるため、交換前提での運用が基本となります
ESG・環境配慮の時代に求められる“音響空間の再利用性”
企業の環境対応(ESG)や脱炭素経営において、音響施設も対象となる機会が増えています。
モジュラー式無響室を導入することは、以下のようなメリットにつながります:
- 環境報告書やサステナビリティレポートでの加点要素
- LCA(ライフサイクルアセスメント)評価への対応
- 廃棄費用・撤去作業の大幅なコストダウン
- カーボンフットプリントの削減
つまり、性能・コスト・環境のバランスを満たす次世代の試験室といえるのです。
ソノーラの取り組み:設計から“解体後”まで考える
ソノーラでは、無響室を単なる測定空間としてではなく、「循環する資産」として再設計しています。
- 吸音楔BFWシリーズ:高耐久・粉塵レス・長期安定運用に適した設計
- 遮音構造体:再構成しやすいユニット化設計
- 設置・解体ともに短工期で施設運用への影響を最小限に
- 将来的な用途変更にも柔軟に対応できる構成の自由度
まとめ:無響室も“使い捨てない”選択を
かつては“造って終わり”だった無響室。
今では、“使い終わったあと”まで見据えた、サステナブルな設計が求められています。
モジュラー式無響室は、再利用・移設・再構築が可能な、未来型の音響空間。
製品や技術だけでなく、環境に対する姿勢そのものが問われる今、
ソノーラのモジュラー無響室は、その答えの一つです。
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