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吸音楔 vs 平面吸音材:遮断周波数と逆二乗則から考える
2025/09/05
- 無響室・防音室のソノーラ
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- 吸音楔 vs 平面吸音材:遮断周波数と逆二乗則から考える

はじめに:吸音構造の選択が性能とコストを左右する
無響室や半無響室の設計において、「吸音楔」を使うか、「平面吸音材」で構成するかは重要な判断ポイントです。
それぞれの構造は遮断周波数(Cut-off frequency)や逆二乗則の成立に大きな影響を与えます。
吸音楔:伝統的かつ高性能な選択肢
- 特徴:垂直入射で吸音率0.99以上を目指せる
- 遮断周波数以下では吸音性能が急激に低下するため、楔の長さ(λ/4以上)が必要
- 例えば125 Hzまで遮断周波数を下げる場合、1.1 m級の楔が必要に
- 高性能だが、大空間が必要+高コスト
平面吸音材:新しい柔軟なアプローチ
- 近年では、高密度グラスウールや多層構造(BFW + 空気層)を用いた平面吸音材が主流に
- 遮断周波数は楔に劣るが、逆二乗則の成立を確認すればISO的には問題なし
- 特にISO 3745:2012では、吸音率0.99未満でも「無響室」と認められることが明記
比較:性能だけでなく設置条件と用途に応じた選定を
特性 | 吸音楔 | 平面吸音材 |
---|---|---|
遮断周波数 | 低く設定可能(設計依存) | 高めになるが一定性能あり |
空間効率 | 要大空間(特に低周波対応) | 薄型化可能で省スペース |
コスト | 高 | 低~中 |
快適性(聴感) | ツーンとしやすい | 快適性が高い傾向 |
ISO対応 | 旧設計基準にマッチ | 新基準(逆二乗則重視)に最適 |
ソノーラの提案:用途と周波数帯で最適設計
ソノーラでは、用途に応じて吸音構造を最適化しています:
- 125 Hz以下を正確に測定したい→ 楔構造 + BFW
- 1 kHz以上の試験が中心 → 平面吸音材 + 狭小空間設計
- 移設やモジュール化を優先 → 薄型BFB構成のMSAC/MFAC
いずれも逆二乗則を基準に設計し、ISO3744/3745/26101など各規格への準拠も確保しています。
まとめ:逆二乗則を基準に、賢く選ぶ吸音構造
無響室設計は、吸音率だけを追いかける時代から、「逆二乗則が成立すればOK」という柔軟な設計へと進化しています。
用途・周波数・空間条件に応じて、吸音楔と平面吸音材を使い分けることが、最適な音響環境づくりの第一歩です。
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