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ISO 3744 vs 3745 vs 3746:どれを選ぶべきか?
2025/06/07
- 無響室・防音室のソノーラ
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音響機器や製品の音響パワーレベル(PWL)を測定する際、どのISO規格を選ぶべきかは、試験目的、測定環境、必要な精度によって異なります。本記事では、ISO 3744、3745、3746の違いと、それぞれの選定基準を解説します。
それぞれの規格の概要
ISO 3744:2010 – 実用的な測定法(Engineering Method)
使用環境 | 半無響室(Semi-Anechoic Room) |
---|---|
対象音場 | 反射面上の自由音場(free field over a reflecting plane) |
許容される環境補正 K2 | 0 ≤ K2 ≤ 4 dB |
特徴 | ・一般的な製品試験向けの「実用的」な手法 ・設備構築が比較的簡単でコストを抑えられる ・音響パワー測定に「床反射」が利用可能 |
用途例 | 家電製品、IT機器、自動車部品 などの産業用途全般 |
ISO 3745:2012 – 精密測定法(Precision Method)
使用環境 | 無響室 / 半無響室 |
---|---|
対象音場 | 自由音場 / 反射面上の自由音場 |
許容される環境補正 K2 | K2 ≤ 0.5 dB(厳しい) |
特徴 | ・高精度な音響パワー測定に使用 ・無響室の設計は逆二乗則を満たすことが条件(吸音率0.99以上推奨) ・ISO/JISに準拠した精密測定や検定用に最適 |
用途例 | 高精度が要求される製品評価、研究開発、認証試験 |
ISO 3746:2010 – 簡易測定法(Survey Method)
使用環境 | 通常の反射性室(reverberant or untreated rooms) |
---|---|
対象音場 | 不均一な音場でも可 |
許容される環境補正 K2 | 大きい(環境補正K2は使用されないことも) |
特徴 | ・測定精度よりも「大まかな把握」を重視 ・室内反射の影響を大きく受ける ・実験室での簡易的なチェック用途 |
用途例 | 初期開発段階でのノイズ評価、製品比較など |
どれを選ぶべきか?【判断フローチャート】
1. 高精度な公式試験が必要か?
- Yes → ISO 3745
- No → 次へ
2. 試験室に吸音処理があるか?(半無響室があるか)
- Yes → ISO 3744
- No → ISO 3746
まとめ表
規格 | 試験環境 | 精度 | K2許容値 | 主な用途 |
---|---|---|---|---|
ISO 3745 | 無響室 / 半無響室 | 精密測定 | K2 ≤ 0.5 dB | 高精度要求、認証、標準化試験 |
ISO 3744 | 半無響室 | 実用測定 | 0 ≤ K2 ≤ 4 dB | 一般的な製品評価、開発段階の測定 |
ISO 3746 | 通常の室内環境 | 簡易測定 | 指定なし | 大まかな測定、製品間の比較 |
ソノーラの技術的視点からの補足
ソノーラでは、BFW(Broadband Fractal Wedge)を採用した半無響室-MSAC(Modular Semi-Anechoic Chamber)や全無響室-MFAC(Modular Fully-Anechoic Chamber)により、ISO 3744および3745に準拠した測定環境を提供可能です。特にBFWは、低周波から高周波まで優れた吸音性能を持ち、逆二乗則の成立を保証しやすい構造です。
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