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【グローバル顧問:南治子のコラム8】海外代理店がやってきた No.3
2025/05/02
- 無響室・防音室のソノーラ
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「研修を行いますので、出来るだけ早く東京の我が社に来て下さい。」
ソノーラ会長の一言がきっかけとなり、DMC社の来日が決定しました。
目的は、主に北米の潜在顧客に向け、ソノーラの音響無響室を製品技術の観点から正確に伝えて頂くこと。彼らの製造する電波暗室との違いを理解して頂くこと。
そして何より、ソノーラの経営哲学を肚落ちさせた上で販促活動を行って頂くことでした。
これは洋の東西を問わずしばしば見られるのですが、代理店・商社という名のもとにただ間を取り持つだけで業務完了してしまうケースです。紹介手数料という名のマージンを利ザヤとし、製品価格に1〜2割ほど上乗せして顧客に見積書を提出する。
一見楽な商売に見えるかもしれませんが、そこには何の発展もないのです。メーカー製品を真から理解しようともせず、マージンを取るためだけのビジネスモデルはいずれ頭打ちしてしまいます。
そして今回ソノーラの会長が、音響無響室に関する製作·設計·施工·営業の一連のプロセスをDMCに一刻も早く教授されようとした背景には、創業者としてゼロから創り上げた製品への情熱、そしてさらには業界全体に対する熱い思いを伝える目的であったことを、後に知ることとなります。
ここで自戒の念を込めて、私自身も企業支援を行ってきた過去、教訓となった出来事があります。
スウェーデンの太陽電池製造装置を日本で販売支援していた時のことです。
日本企業から入る問い合わせを担当していたのですが、実際の商談にはなかなか結び付きません。どんなに一生懸命オンリーワンの技術を説明しても
「良い製品ですね。検討します。」
と言われて終わり。
当時は確実に太陽電池の量産需要があったはずで、ベンチャーとしての技術力も申し分なかったのに、何が足りないのだろうかと非常に悩まされました。
そんな時、スウェーデン大使館で行われた在日スウェーデン企業の集まりに参加し、
たまたま同席したスウェーデン企業の営業部長さんに悩みを打ち明けました。
その方は一通り私の話を聞いた後、こう質問しました。
「南さんは、その製品を愛していますか?」
私は返答に詰まりました。すると営業部長さんは、
「よく考えてみて下さい。どうやったらその製品を愛することができるかということを。」
と笑顔で仰いました。
あんなに巨大で無機質な装置を果たして私は愛することが出来るのだろうか?
その後しばらく、答えを探す日々が続きました。
そして、私は間に立つ人間として、伝えるべきは装置の背後にいるエンジニアの情熱ではないかということに気づいたのです。
創業者は勤めていた大企業を辞めて、スティーブ・ジョブズのごとく自宅のガレージで起業しました。最初に作った太陽電池は、安価なCD・DVD製造機械を転用したため、真ん中に穴が開いていました。
創業者のどんな思いを経てこの装置が出来上がったのか、という観点から考えることで、私自身何とか愛着のようなものを抱けるようになり、その後商談を実現できただけでなく、お客様との良い人間関係を構築するための架け橋となることができました。
そんな情熱をまさに伝える架け橋になるべく、2024年1月の研修に向けてカナダから来日するDMCのために、私も大阪から東京のソノーラへと向かいました。
ちなみに···DMCも若手社長のベンチャーなのですが、成城にあるソノーラ本社へ通うのに便利な新宿周辺のホテルを、彼がAI任せで探したところ、AIによる一番のおススメは新宿·歌舞伎町のど真ん中にあるホテルだった···というオチがあります。
(続く)
ソノーラテクノロジー株式会社 顧問 南 治子
<略歴> 関西学院大学文学部フランス文学科卒業後、ベルギー王国総領事館商務部勤務を経て、企業顧問・コンサルとして独立。主に欧州企業の日本市場進出支援を行う中で、日本のすばらしい数多くの中小零細ものづくり企業と出会い、日本から世界へフィールドを広げる企業支援も手掛けるようになる。ソノーラでは主に欧州市場新規開拓を支援。
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