技術情報
音響パワー測定の「逆二乗則」とは?
― 無響室の性能を決定づける基本法則とその実用的意味 ―
2025/08/31
- 無響室・防音室のソノーラ
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- 音響パワー測定の「逆二乗則」とは?

はじめに:無響室の性能を示す“目に見えない基準”
無響室の性能を評価する際、「吸音率」や「遮音性能」など、物理的なスペックが注目されがちです。
しかし実際には、ISO 3745:2012をはじめとする国際規格では、逆二乗則(inverse square law)の成立こそが“無響室としての性能”の本質とされています。
逆二乗則とは?
逆二乗則とは、点音源から放射された音の強さが、距離の二乗に反比例して減衰するという自然法則です。
- 距離が2倍になると、音圧レベルは6 dB減衰
- 周囲に反射音がない理想的な自由音場でのみ成立
- 無響室の「自由音場性能」を評価する際の最も基本的かつ重要な指標
ISO 3745における適用
ISO 3745:2012では、無響室の評価において逆二乗則が実測で成立するかどうかが唯一の基準となります。
従来のように「吸音率が0.99以上でなければならない」といった条件は撤廃されました。
つまり:
- 吸音材の材質や形状は問わない
- 音源と受音点との間で理想的な6 dBステップの音圧減衰が得られればよい
- よって、従来よりも設計の自由度が高くなり、快適性やコストへの配慮も可能
実測時の注意点
逆二乗則を正しく評価するためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 音源が無指向性に近いこと(例:12面体スピーカ)
- 反射が少ない空間構成(特に床・天井の干渉を避ける)
- マイクを複数配置して距離ごとの音圧を比較する構成
- 受音点の位置ズレや機器配置の影響に注意
ソノーラの検証手法と設計基準
当社では無響室納入時に、次のような測定を行い逆二乗則を確認しています。
- 周波数帯域ごとに、受音点での音圧レベル差を計測
- 平均偏差が1.5 dB以下であれば成立と判定
- VSACやMFACなど各タイプにおいて、最小限の吸音材で最大限の自由音場性能を実現
- 専用の試験音源とマイク配置図も提供し、ISO試験環境の再現性をサポート
まとめ:逆二乗則=「静かさ」ではなく「音場の精度」
無響室とは単に“静か”な空間ではありません。
音の伝播が理想通りに減衰する=測定結果が信頼できる、というのが本質です。
逆二乗則を中心とした設計・評価手法によって、快適さと精度を両立した無響環境の構築が可能になります。
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