技術情報
音は水のように漏れる。
― 無響室における“音漏れ”対策と密閉技術の重要性 ―
2025/08/26
- 無響室・防音室のソノーラ
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- 音は水のように漏れる。

はじめに:「無響室だから音は漏れない」…本当に?
無響室は、すべての音を吸収する「完全な静寂空間」と思われがちですが、実際には目に見えない“音漏れ”が起きることがあります。
音は水と同じように、小さな隙間からでも確実に外へ漏れ出し、あるいは外から侵入します。
たとえ室内がどれだけ吸音されていても、扉・隙間・貫通部の処理が甘ければ、“沈黙の空間”は保てません。
音は水と同じ、“弱点”から逃げていく
音漏れの主な経路は以下の通り:
音漏れの起点 | 特徴/リスク |
---|---|
ドアの隙間 | 一番多い。閉じたつもりでも漏れやすい |
ケーブルの貫通孔 | 小さな穴でも高周波ノイズが通ることがある |
空調ダクト | 空気と一緒に音も伝わる。逆流音も注意 |
パネル接合部 | 固体伝播音が意外な経路で外へ届くこともある |
これは、水の入ったタンクの継ぎ目から水がジワジワ漏れるのと同じです。
“少しの隙間”が、音響精度にとっては致命傷になることも。
ソノーラの“音漏れ対策”技術
私たちは、無響室の「吸音性」だけでなく、「密閉性・遮音性」にも徹底的にこだわります。主な対策例:
- 高気密ドア構造(偏圧対応+2重パッキン)
- 専用貫通ボックス(ケーブル・ファイバ用)
- ダクト用消音ボックス/吸音チャンバー構造
- 隠れた音漏れを検出するFFT分析サービス
これにより、20dBA以下の低騒音空間を実現しつつ、外部空間への漏洩音リスクも管理します。
どんな現場で必要とされる?
- 医療機器のマイク・スピーカー性能試験
- スマート機器やセンサーの微小音測定
- 市街地や研究施設内での無響室運用
- 複数実験室が並ぶ中での相互干渉防止
これらの現場では、「無響室内の音が漏れる/外の音が入る」ことは試験そのものの信頼性を崩す原因になります。
まとめ:静寂は“閉じた構造”から生まれる
音は空気を伝って、最も弱いところから必ず漏れ出すものです。
無響室の性能を本当に支えているのは、吸音材ではなく、空気も音も“通さない構造と精度”。
音を水のように扱い、その流れを止める設計と施工こそが、精密試験の第一歩なのです。
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