技術情報

インドネシア・バンドン工科大学の音響実験室での工事体験

2022/10/31

インドネシアのバンドン工科大学の数棟の校舎および構造研究室と残響室―無響室を含む音響研究室などの設計および工事監理を八千代エンジニアリングが行い、その音響研究室の工事監理の一部を2015年にYAB建築・音響設計がお手伝いした。

写真1 既存のバンドン工科大学(設計:パシフィックコンサルタント)

そのため、バンドン工科大学に6度伺った。無響室の設計・施工はオーストラリアの会社で、躯体は防振ゴムで支持された上に、鉄のパネルで組み立てられていた。表面の吸音楔は有孔パネルの楔状の箱の中にグラスウールを挿入したような方法で作られていた。そのため無響室で実験中に吸音楔にぶつかっても、有孔鉄板が楔を保護してくれるような形になっている。

これまで、多くの吸音楔はグラスウールそのものでできていたが、有孔鉄板で被覆されているとグラスウールの楔がかけずに使用に便利であるが、吸音特性が問題ないか気になった。

有孔板の吸音率の特性は、グラスウールの吸音楔状の上に有孔板が貼られているため、正確にはわからないが、表1に参考として掲載したグラスウールフェルトと比較すると、孔開きアルミ5φ-11.5では、低音域の125Hzでは吸音率が0.57と小さくなっていて、中高音域の吸音率の有孔鉄板の被覆のため0.8程度と小さい。

表1 参考 吸音率の例(引用:建築音響と騒音防止計画)

材料名厚み空気層125250500100020004000
孔開きアルミ5φ-11.5 開口率14% GW厚15mm-12K0.55000.370.480.620.70.690.78
孔開きアルミ5φ-11.5 開口率14% GW厚25mm-20K0.55000.570.710.80.80.750.85
グラスウールフェルト12K501000.40.850.950.850.820.82
グラスウールフェルト20K503000.750.830.850.820.80.82

無響室の逆自乗則の最終検査はイギリスの音響事務所が行ったが、我々の測定方法は簡易的に写真で示す2方向で、図のように3面の交点2点に向かって行った。測定方法はISO3745:2012で、測定間隔は10cmである。

図1 無響室の測定ライン
写真2  12面体無指向性音源による逆自乗則の測定
写真3 音源は3種類

1/3オクターブバンドの逆自乗則の測定結果を抜粋して以下に示す。最初の図1はライン1の100Hz、ライン2の100Hz、図2はライン1の125Hz、ライン2の125Hz、の低音域、図3はライン1の4kHz、ライン2の4KHzで、中高音域を代表して示す。100Hzが最も許容偏差値を超え、125Hzもわずかに許容偏差値を超えている。その他の周波数、例えば4KHzは図のように許容偏差値に納まっている。100Hzではライン1および2では音源から3.5m、および約5mで許容偏差値を超えており、何らかの反射音がマイナスに働いたり、プラスに働いたりしていることがわかる。ただし床のグレーチングは反射音に影響しているのでは無いようだ。

2-1 ライン1の逆自乗則、100Hz
図2-2 ライン2の逆自乗則100Hz
図3-1 ライン1の逆自乗則、125Hz
図3-2 ライン2の逆自乗則、125Hz
図4-1 ライン1の逆自乗則、4kHz
図4-2 ライン2の逆自乗則、4kHz

インパルス応答測定結果を次に示す。音源は無響室、室中央高さ1mに設置し、マイクの高さは1mで、音源から2.5mと2.9mに反対方向2か所設置した。マイク1の100Hzでは、正確ではないが直接音が10msで小さな反射音が50msとすると、時間差は40ms、音速が340m/sとすると13.6m行路差があったことになる。受音点側の壁はマイク1から2mしかなく、行程差は4mしかないため、直接音の波形の中に入ってしまう。したがってこの小さな反射音はマイク2側にある壁および両側の壁からの反射音ではないかと思われる。またマイク2側もほぼ同様の理由ではないかと思われる。次にマイク1の4kHzでは直接音が14ms、反射音が16.5msとすると、時間差は2.5ms、行程差は0.85mとなる。これが床のグレーチングからの反射音とすると行路差は0.62mとなり、計算上0.23mほど誤差があるため、床のグレーチングのリブで反射する位置が異なっていると思われる。マイク2では時間差は2ms、行程差は0.68m、これが床のグレーチングからの反射音とすると高低差は0.70mとなり、ほぼ一致する。したがって逆自乗則上は4kHzでは許容値内に納まっているが、100Hzの音は壁からの反射音のために、許容値をわずかに超えた状態となっていることがわかる。

図5 インパルス応答の測定位置
Source 1 - Microphone 1 - 100Hz
Source1 - Microphone 2 - 100Hz
Source 1 - Microphone 1 - 4000Hz
Source 1 Microphone 2 - 4000Hz

次の写真4は残響室で、残響時間を計測している風景である。図6は残響時間測定結果である。参考に示す。

写真4 残響室の残響時間測定
図6 残響時間測定結果

[測定メンバー]
右:YAB Corporation 藪下 満
中: YAB Corporation アントニオ・サンチェス・パレホ
左:ソノーラテクノロジー 青木 健治

YAB Corporation 藪下 満

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