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暗騒音が低いメリットは?なぜマイナスになるのか

2021/01/08

これから音響関係の仕事に携わって行く方なら、暗騒音という言葉を聞いたことはあると思いますが、今日はタイトル通り、主に暗騒音の数字について説明致します。

まず暗騒音の定義についてですが、よく言われるのが、対象とする発生源からの騒音がない場合の測定地点における騒音レベルだということです。

例を挙げて言いますと、携帯の通知音を知りたいとき、この携帯の通知音以外の全ての音は暗騒音です。

これは特に無響室等の中で製品の音を測定する時に使うやや専門用語です。

ではなぜ暗騒音という概念が必要でしょうか?

それはより精確に音を測るためです。どんなに静かなところであっても空気分子のぶつかり合いで、音は必ず生じます。

そのため、測定する際に音源以外の音も加味して計算に入れないと、正確な数字は出ません。

ただ、製品の音が暗騒音より10dB以上高い場合は、暗騒音を無視しても大丈夫ですが、10dB以内の場合は補正を行う必要があります。

では、暗騒音は低ければ低いほど良いのでしょうか?

まず結論から言いますと、もちろんそうですが、より低い暗騒音の無響室を作るには、それなりの費用も増加しますので、一般には測定する製品によって暗騒音が決まってきます。

色々な無響室メーカーの中で、無響室が良いかどうかを判断するには、暗騒音は基準にはなっていませんが、より低い暗騒音を作り出すことによって、より幅広く製品に対応する無響室ができます。

ちなみに、弊社は最近の案件の中で、ユーザーの要望により、比較的に低い暗騒音はAP3.7dBです。周波数毎の暗騒音は以下の通りです。(組立式無響室は本当に性能が良いのか? で御紹介)

単位dB(A)
Hz AP 63 125 250 500 1000 2000 4000 8000
無響室内暗騒音
(全停止)
3.7 -10.4 -10.5 -13.7 -10 -5.9 -3.6 -2.9 -4.3
無響室内暗騒音
(エアコン稼働)
3.9 -10.9 -8.2 -10.4 -9.3 -6.1 -3.7 -2.9 -4.2
無響室内暗騒音
(エアコン・ファン稼働)
8.6 -0.9 -1.6 -1.6 -2.6 -4.5 -3.6 -2.9 -4.2

お気付きになったと思いますが、ここの音の大きさはほとんどマイナスになっています。音がマイナス?これはどういうことでしょうか?

これを理解して頂くためには、音のレベル計算の仕方から簡単に説明致します。

ここのレベルというのは、音圧(P)が音圧基準値(P₀)より何倍大きいかというレベルです。そして音圧基準値はつまり人間の最小可聴値で、2×10⁻⁵ Paです。

そして式は常用対数で表します。つまり:

Lp=20log(P/P₀)

ここを見ますと、音圧がもし音圧基準値より小さい場合なら、結果がマイナスになります。

もっと説明しますと、常用対数が表すのがべき乗の数字です。つまり下図矢印部分です。

そして、0.1をべき乗で表すと、10⁻¹になります。ここでマイナスが出てきました。マイナスが大きければ大きいほど、数字が小さいのだということがわかります。

だから音のマイナスの意味が本当のマイナスではなくて、とても小さい、静かだということです。

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