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無響室におけるカットオフ周波数
2022/03/10
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無響室の内壁には、吸音クサビという三角形状の吸音体が取り付けられています。
無響室は、言葉の通り「音が響か無い部屋」ですので、吸音クサビが張り巡らされた無響室では、大袈裟にいうと全く音が反射してきません。
何故、音が反射しないように設計されているのでしょうか?
それは、無響室内で測定するもの(被測定物)から発生する音が反射してしまっては、そのものから発生する音が正確に測定出来ないからです。
そのため、無響室内では音が帰ってこないようにしています。砂漠のように広大な場所では音を反射するものがありません。これに近いような空間を目指して設計するが無響室です。
ですが、音が帰ってこない=行きっぱなしで戻ってこない という空間は完全に再現は出来ません。いくら高性能の吸音クサビだとしても、特に「低周波域」の音は吸音しきれませんので、吸音クサビには一定の性能基準があります。「カットオフ周波数」と言われるものがその一つです。
カットオフ周波数は吸音クサビ単体の吸音性を示すという意味に近いため、無響室の性能基準の一つとしてよく使われます。
・・・ただ、筆者はこのカットオフ周波数という言葉はあまり使いたくありません。何故なら世間的にはカットオフ周波数が誤解された認識をされていたり、測定可能下限周波数と混合されてしまうからです。
また、吸音クサビ単体の性能は、無響室自体とは実はあまり関係がないとも言えます。
例えば、
カットオフ周波数200Hzの吸音クサビは厚さ425ミリ厚と設計しました。この吸音クサビを使えば、無響室内で200Hzは反射しません。
いえ、違います。これは、無響室の大きさを考えていません。無響室は大きければ大きいほど吸音がしやすくなりますし、反対に、小さければ小さいほど吸音はしにくく、また測定可能下限周波数の検証もし辛くなります。
吸音クサビ単体で無響室を考えてはいけません。
無響室の設計は、無響室全体で考える必要があります。
ですので、カットオフ周波数が〇〇という理屈だけで無響室の性能が決まるわけではないのです。
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