技術情報
工場の静けさは生産性を上げる
─ BFシリーズ+遮音工事の最前線 ─
2025/10/25


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はじめに
製造現場では、「騒音」は長らく“避けられないもの”として扱われてきました。
しかし近年、労働安全衛生法やISO45001の普及、そして作業者の快適性や集中力の観点から、音環境の改善=生産性向上の手段として見直されつつあります。
本記事では、工場の騒音がもたらす影響と、遮音・吸音を組み合わせた静音化工法の考え方について解説します。
騒音が生産性に与える影響
工場における騒音の問題は、単なる「不快さ」だけでなく、集中・判断・品質といった要素にも直接的に影響します。
集中力低下とミス率の上昇
持続的な騒音下では作業者の注意力が低下し、確認や操作の精度が落ちます。
情報伝達の誤解・遅延
アラーム音や声掛けが埋もれ、連携ミスが起こりやすくなります。
心理的・身体的ストレス
長時間の騒音曝露はストレスと疲労を蓄積させ、作業効率を低下させます。
これらの損失は可視化しにくいものの、結果的に生産性の低下として現れます。
したがって、静音化は「快適さのため」ではなく、効率のための投資なのです。
工場騒音の主要な発生源
工場の音環境は、設備音と構造音が複雑に絡み合って形成されます。
| 発生源 | 内容 | 対応方針 |
|---|---|---|
| 機械設備 | コンプレッサー、モーター、ポンプなどの運転音 | 遮音・防振・囲い化 |
| 空調系統 | ダクト内の風切り音、共鳴音 | 吸音ダクト、低騒音フード |
| 構造反射 | 鉄板・コンクリート面での反射・残響 | 吸音仕上げによる反射抑制 |
| 床振動 | 設備稼働による構造伝播 | 防振架台、浮床構造 |
これらの音を「発生源対策(遮音)」と「音場対策(吸音)」で分けて設計することが、最も効果的な静音化へのアプローチです。
吸音と遮音の組み合わせ設計
工場の静音化では、吸音と遮音のバランス設計が重要です。
吸音の役割
吸音は、空間内の反射音や残響音を抑え、音の明瞭度を高めるための技術です。
壁・天井・梁下といった反射の多い面に配置することで、作業者の聴覚負荷を軽減し、会話やアラートの聞き取りやすさを改善します。
遮音の役割
遮音は、音を通さない構造的対策です。
遮音壁・ブース・間仕切りなどを用い、騒音源と作業エリアを物理的に分離します。
複合構造による最適化
遮音壁の内側に吸音層を組み込む「複合遮音構造」により、内部反射を抑えながら遮音性能を高めることが可能です。
この吸音層として活用されるのが、BFシリーズ(Broadband Fractal Series)です。
BFシリーズは非繊維系で粉塵を発生させず、広帯域にわたる安定した吸音性能を発揮します。
板材タイプ(BFB)、楔形タイプ(BFW)、管状構造(BFP)など、用途や空間形状に応じた構成が可能です。
騒音改善計画の進め方
静音化は一度の工事で完結するものではなく、段階的に最適化するプロセスとして捉える必要があります。
| 1. 現状分析 | 騒音レベル測定と音源マッピングを実施 |
|---|---|
| 2. 設計検討 | 吸音・遮音バランス、構造強度、保守性を考慮 |
| 3. 施工・評価 | 施工後に再測定し、改善効果を定量化 |
| 4. 維持管理 | 清掃・点検を行い、性能を長期安定させる |
特に、稼働中の設備を止めずに行う後付け施工(レトロフィット)は、生産ラインへの影響を最小限にしつつ、確実な効果を得る現実的な方法です。
まとめ:静けさを設計することは、生産性を設計すること
「静かな工場」は、作業者の快適性だけでなく、品質・安全・効率のすべてを支えるインフラです。
遮音構造とBFシリーズを組み合わせた静音化設計により、音のエネルギーを制御し、作業環境の“見えない損失”を抑制できます。
静けさは、生産性を高めるための設計要素のひとつ。
これからの工場設計では、「音をデザインする」ことが競争力につながる時代です。
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