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吸音材の厚さ=吸音材の性能⁈
2020/10/27
- 無響室・防音室のソノーラ
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- 吸音材の厚さ=吸音材の性能⁈
吸音率の設計
吸音材の吸音率を1とするには、対象周波数の波長×1/4の厚さを設計すれば良いという一般的な理論があります。
- (1) 波長=音速÷周波数
- (2) 吸音材の厚さ=波長÷4
音速を毎秒340メートルとすると、500Hzの波長は680mmです。680mmを4で割ると170mmです。
一般論では、500Hzの音を吸音するためには、厚さ170mmの吸音材を設計します。
つまり、吸音材の厚さが厚ければ厚いほど低周波音に対しても吸音効果を発揮するという話です。
ですが、それはあくまでも目安であり、実際には異なります。
平板積層型無響室
本格的な無響室は、音が跳ね返ってこない吸音された部屋で、三角形の吸音クサビが内壁面に施工されています。これに対し、“平板積層型無響室”という簡易無響室もあります。
本格的無響室に使用されている吸音クサビは非常に高価なものですが、平板積層型無響室は、市販の吸音板を複層に貼り合わせ厚さを増しただけのものですので、本格的無響室と比較すると安価になります。
前述の吸音材の設計からすると、両者の吸音材が同じ厚さであれば、平板積層型でも、吸音クサビと同等の吸音率が確保出来るのではないかと思われますが、実際には厚さを確保しただけの簡易無響室では様々な問題が発生してしまいます。
平板積層型の問題点
下記は、平板積層型と吸音クサビの垂直入射吸音率の比較です。
このように、平板積層型と吸音クサビでは大きな違いがあります。平板積層型は、特定の周波数帯に対して吸音クサビよりも高い吸音率を発揮しますが、非常にバランスが悪いです。
特に、波長が短く吸音がしやすいはずである高周波域の吸音率が1に届いていません。
また、無響室は対象周波数を下限としてそれ以上の吸音率は0.99~1を確保しなくてはなりません。
つまり、平板積層型は無響室には不向きですし、単純に吸音材の厚さを増せば吸音率が1になるということは正しくないと言えます。
- 平板積層型は無響室としては不向きである!
- 単純に吸音材の厚さを増せば吸音率が1になるということは正しくない!
無響室の吸音性能を発揮するために、吸音クサビの三角形状は、最適な形状として設計されていますので、平板積層型が吸音クサビに劣ってしまうのは当然のことです。平板積層型が簡易無響室と呼ばれるのはそのような理由からです。
平板積層型の改善=新たな吸音材
しかし、前記グラフの通り、平板積層型には特定の周波数帯で高い吸音率を発揮するというメリットもあり、全てがデメリットであるとはいえません。
このメリットを生かしつつ、吸音率が1に達していない周波数帯を改善出来れば、吸音クサビに匹敵する吸音材となる可能性があります。
そのため、ソノーラテクノロジーでは、吸音クサビを超える新たな吸音構造をテーマに2009年から現在まで開発を推進していました。
その結果、製品化の目途が立ち、近々リリース出来る見込みです。
吸音率を高めるには?
吸音は音エネルギーを熱エネルギーに変換することですので、変換量を高めれば吸音率は高くなります。ですが、吸音材に使用されている素材(市販品)自体の吸音率には限界があります。
ただ、吸音率を確保するには吸音材を使用しなければならないというルールはありません。エネルギー変換の方法は他にもたくさんありますし、吸音クサビを超える吸音材といっても、吸音材単体ではなく無響室の構造や、無響室全体の形状設計を工夫するという観点が重要です。
現時点でまだ情報公表は出来ませんが、吸音クサビを超える新たな吸音構造が実用化となれば、無響室の新たなトレンドとなることでしょう。
このように…
- 単純に吸音材の厚さを増せば吸音が出来るとはいえません。
- 吸音材の厚さを増すことだけが、吸音率を高める方法ではありません。
ということがいえます。
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