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魔法瓶のような防音室
2024/09/07
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たまたま筆者のデスクに魔法瓶がありましたので、もし防音室を魔法瓶のような形状で作ったら防音の効果はどうなのか?ということについてお話したいと思います。
中空二重壁
まず魔法瓶は、外側、内側の二重構造になっています。そしてその内部は真空になっているといわれています。これは断熱のための構造です。
遮音設計には「中空二重壁」という用語があります。文字通り二重の壁で壁の中が空気になっているというものです。
中空二重壁は高い遮音性能を発揮させるための考え方といわれています。魔法瓶も類似の構造です。しかし、魔法瓶とは違い中空二重壁は真空になっておらず、空気を介してつながっているともいえます。
※ 一般的な中空二重壁構造は遮音設計としては様々な問題があります。ここでは割愛しますが、もちろん、真空の防音室があれば高い遮音効果は期待出来ます。(実現性は低いですが)
筒形=防音室に適用したらどうなるか?
魔法瓶のように筒形の防音室を作ったら、遮音効果はどうなるでしょう。
遮音は音を跳ね返すことですので、筒形の防音室の外で発生した音が防音室に当たると乱反射します。
これは高い遮音効果を得られると思います。
さらに筒形というのは板が平面ではなくR状に曲げられているため、平面板に比較すると剛性が高いです。剛性が高い=遮音効果が高いといえます。
一方で、室内側はどうでしょう?
室内で発生した音を矢印で表現すると、上図のように跳ね返ります。
つまり、跳ね返った音が一点に集中してしまい、反響音が増幅するスポットが発生してしまいます。
これは防音室の設計上、良くないことです。
R形状を活用した防音室例
以前、弊社技術顧問 藪下満(YAB Corporation)氏による球形のピアノ防音室の設計事例があります。
これは、前述のように室内反響面としては良くないのですが、写真のように室外側は有効な遮音形状としつつ、室内側に吸音、乱反射ユニットを設けることにより心地よい室内音響を実現しています。
このように工夫一つで、マイナス面をプラスに置き換えることも出来ます。
まとめ
- もし壁の中が真空の防音室があれば遮音性能は高いであろう
- 筒形は外壁遮音形状としては有効
- 筒形は内壁形状としては不向き
- 形状を活かした設計方法も可能
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