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【グローバル顧問:南治子のコラム13】予期せぬ欧州出張編 No.2
2025/09/30
- 無響室・防音室のソノーラ
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BCP (Business Continuity Plan: 事業継続計画)という言葉があります。起こりうる緊急事態に備えて、いかに企業が事業継続するか指針をあらかじめ定めておく計画のことです。
予期せぬ欧州出張が決定し、詳細スケジュールを作り込む役割を担った私は、ともに出張する北米の代理店DMCとのコミュニケーションを密に行って足並みを揃えることが、最大のリスク管理であると思い込んでいました。
最終目的地の空港で落ち合えるよう、北米からのフライト到着時刻に出来るだけ近いフライトを選び、加えてスムーズな乗り継ぎを行える適度な時間配分、さらにコスト最適化という観点も含めて、日本からのフライトを決定しました。
それが、ロンドン・ヒースロー空港経由ヴァーツラフ・ハヴェル・プラハ国際空港という飛行ルートでした。
出張初日の朝、ソノーラのベテラン営業部長Kさんと羽田空港で落ち合い、ロンドン行きの飛行機に乗り込んだ時点で、私はすべてが順調に進んでいると思い込み、何の疑いも持つことなく機内でその後の旅程確認作業をしていました。
ほぼ定刻通りにヒースロー到着、2時間半の乗り継ぎ時間を経て同日夜にはチェコ・プラハに無事到着し、20分ほど先に到着しているDMCのCEOと車でホテルに向かう予定でした。
しかし・・・トランジットエリアで乗り継ぎ案内の電光掲示板を何度確認しても、乗るはずのプラハ行きフライトが見つからないのです。とは言え、すでにチケットは発券済みなので、表示に従って空港内を移動するしかありません。
一抹の不安を抱えながら、あるはずのフライトを求めてトランジットエリアを突き進んでいると、地上係員に呼び止められました。そして言われたのが、
「本日プラハ行きの便はキャンセルになりました。一旦空港内の一般エリアに出て、航空会社のチケットカウンターで翌日以降のフライトを取り直して下さい。」
予期せぬ一時的な英国入国。そして、チケットカウンターの長蛇の列。空港および航空会社のIT化が進んでいるとは言え、非常事態にはアナログでしか対応できない現実。
結局4時間半も並び、フライトがキャンセルになった理由は一切説明されず、カウンターで押し問答の末、その日は予期せぬロンドン泊となりました。しかもスーツケースは空港から取り出せず着の身着のまま、翌日早朝にまた空港に戻ってくるしかありませんでした。
疲弊してたどり着いたホテルの部屋で、歯ブラシが用意されていないことに気づき、
「日本の常識は世界の非常識」
という言葉がふっと頭をよぎりました。
私自身の頭の中から、BCPという概念がすっかり抜け落ちていたのです。なぜこのような非常事態を想定して計画を立てなかったのか。飛行機が1日遅れることで、翌日予定されていたクライアント訪問時間には確実に間に合いません。
しかし、事前に想定していれば、例えフライトがキャンセルになっても間に合う方法があったのです。私自身が過去の経験値を生かせなかった失敗談として、その教訓を次回お話することにします。
(続く)
ソノーラテクノロジー株式会社 顧問 南 治子
<略歴> 関西学院大学文学部フランス文学科卒業後、ベルギー王国総領事館商務部勤務を経て、企業顧問・コンサルとして独立。主に欧州企業の日本市場進出支援を行う中で、日本のすばらしい数多くの中小零細ものづくり企業と出会い、日本から世界へフィールドを広げる企業支援も手掛けるようになる。ソノーラでは主に欧州市場新規開拓を支援。
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