技術情報

ソノーラ太郎物語

〜防音壁が、音を大きくしてしまった日〜

2026/03/09

11年前のこと。
ソノーラ太郎は、とある鉄屋さんの関連会社であるスクラップ屋さんに呼ばれました。
「住民から、騒音の苦情が来ている」
そう聞いて、ソノーラ太郎は現場を見て、音を測り、騒音対策の見積もりを出しました。
提案したのは、L字型の防音壁。
音は直進するだけでなく、反射し、回り込み、逃げ場を探します。
L字にすることで音が響かず、周囲は静かになりました。
工事が終わると、まわりはちゃんと静かになり、お客さんも大喜び。
ソノーラ太郎は、「よかった」と胸をなで下ろし、安心して帰りました。

それから、しばらく経ったころ。
あの鉄屋さんの紹介で、ソノーラ太郎は別のスクラップ屋さんを訪ねることになりました。
そこでは、とても困った様子で、こんな話を聞かされました。

「地元の大工さんに、防音壁を立ててもらったんです。
ALC厚150mm
高さ6m
全長120m
地面から2mは空洞になりました。
もともとブロック塀があったので、低い位置の壁は必要ないと判断したんだと思います。
これで3000万円かかりました。
でも……
おかしいんです。
壁をつくったのに、ぜんぜん静かになっていない。
それどころか、『うるさくて眠れない!』と、また住民から苦情が来てしまったんです」

ソノーラ太郎は、現場を一目見て、すぐに気づきました。
防音効果が、まったく発揮されていない。
それどころか、防音壁が反射面になり、工場の壁に音が跳ね返り、音量が増幅しているのです。
壁と工場の壁の間は、たった1〜2mしかありませんでした。
音は逃げ場を失い、行ったり来たりして、どんどん大きくなっていたのです。

防音壁を立てた大工さんは、ALCの材料単体の遮音性能データを見せてくれたそうです。
そこには、「40dBの遮音効果」と書いてありました。
それを見て、お客さんは信じてしまったのです。
でもそのデータは、ラボテストデータでした。
ラボ測定による音は過剰に“よい方向”に数字が出てしまいます。
ソノーラ太郎は、思わずつぶやきました。
「そりゃ、単体のデータじゃ40dB遮音する_って出るに決まってるよ……」
しかもその大工さんは、「防音による効果値の保証」を一切していませんでした。
音は減衰していない。
むしろ大きくなっている。
それなのに、3000万円もの大金を返してもらえなかったのです。

ソノーラ太郎は、まず測定から始めることにしました。
敷地境界と工場内の音を、同時に測定できる計測器を使いました。
測ってみると――

敷地境界61dB
突発音100dB超

決まりでは、敷地境界で55dB以下にしなければなりません。

そこでソノーラ太郎は、【SHINOBI FABRIC】を提案しました。
遮音パネルだけで対策すると、金額がすこぶる高くなってしまうからです。
そして、はっきり言いました。
「防音壁の内側と、工場内に貼れば、55dB以下になることを保証します!」

スクラップ屋さんは、不安でいっぱいでした。
「また高いお金を払って、同じ失敗をしたらどうしよう……」
心配になって、“ハカセ”に問い合わせたそうです。
すると“ハカセ”は言いました。
「3dBくらいしか落ちないんじゃない?そんなことやっても、意味ないよ」

それを聞いたソノーラ太郎は、きっぱりと反論しました。
「遮音だけでは騒音対策はできない。吸音+遮音=防音なんだ!」

それでも、スクラップ屋さんは疑心暗鬼でした。
そこでソノーラ太郎は言いました。
「信じてもらうために、試験をお見せしましょう」
まず、2mの範囲に【SHINOBI FABRIC】を貼りました。
すると、その部分だけ、確かに静かになりました。
「……」
それでも不安そうだったので、次は9m × 10mほどの範囲で試験しました。
結果は良好。
「範囲を広げると、もっと静かになりますよ!」

それでも、完全には信じてもらえませんでした。
そこでソノーラ太郎は、こう言いました。
「前に、茅ヶ崎の鉄屋さんでも同じ対策をやったことがあるんです。ぜひ、見に行ってみてください」
スクラップ屋さんが茅ヶ崎の鉄屋を訪ねてみると、鉄屋さんは笑顔でこう言いました。
「めっちゃ静かになったぜ!苦情? もう来てないぜ!」

「……信じてもいいかな」
スクラップ屋さんは、ようやく決断しました。
ソノーラ太郎は、安心してもらうために、全力で取り組みました。

工事が完了し、敷地境界で音を測ってみると――
「やったぞ!」
最大でも、敷地境界線上で55dBを切っている。
全体で、約20dBも下がっていました。
車の通行音でごまかされていないことを確認するため、2点同時測定を行い、問題がないことも証明しました。

結果報告書を提出し、工事が終わったその日から、住民からのクレームは止まりました。
鉄屋さんのおえらいさんたちが、ぞろぞろと見に来ました。
第三者測定も、すべてクリア。
「あれだけうるさい音が、敷地境界でクリアできるなんて……!」
「すごい技術だ!」
「他の事業所も、ぜひお願いしたい!」
「ぜひ先生と呼ばせてください!」

ソノーラ太郎は、お客さんの喜ぶ顔を見るために、きょうも音と向き合います。

音は、
正しく測り、
正しく考え、
正しく対策すれば、
ちゃんと静かになる。

ソノーラ太郎は、今日も地球を、すこしだけ静かにしています。

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