技術情報

建設業許可なしで500万円以上の工事を請け負ったら?

― 建設業法違反の罰則 ―

2026/05/22

前回の記事「無響室・防音室の施工には建設業許可が必要?」 では、無響室・防音室の施工は基本的に建設工事に該当し、税込500万円以上の工事を請け負うには建設業許可が必要であること、そしてこれは代理店であっても同じであることをご説明しました。

それでは、もし建設業許可を取らずに500万円以上の工事を請け負ってしまったらどうなるのでしょうか。本記事では「建設業法違反」の中身、すなわち罰則と監督処分について整理します。

建設業法違反には「刑事罰」と「監督処分」の2系統がある

建設業法違反に対する制裁は、大きく2つに分かれます。

刑事罰裁判所による刑罰(懲役・罰金・過料)
監督処分国土交通大臣または都道府県知事による行政処分(指示・営業停止・許可取消)

両者は別の系統で、同じ違反行為に対して両方が同時に課されることもあります。たとえば、無許可営業が発覚した会社は「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」という刑事罰を受けると同時に、行政側からも営業停止処分を受ける可能性があります。

刑事罰:4段階の重さがある

建設業法に基づく刑事罰は、重い順に次の4段階に分かれます。

① 3年以下の懲役 または 300万円以下の罰金(建設業法第47条)

もっとも重い罰則で、以下の5つの違反が該当します。

  • 1. 無許可営業(第3条第1項違反) ― 500万円以上の建設工事を許可なしに請け負った場合
  • 2. 特定建設業許可が必要なのに無いまま下請契約を締結した場合(第16条違反)
  • 3. 営業停止処分中に営業を行った場合
  • 4. 営業禁止処分中に営業を行った場合
  • 5. 虚偽または不正な手段で許可を受けた場合

無響室・防音室の施工に関連して最も気を付けるべきなのは①と②です。「無許可で500万円以上の工事を請け負った」というだけで、この最重量級の罰則の対象になります。

なお、情状によっては懲役と罰金が併科されることもあります。

② 6月以下の懲役 または 100万円以下の罰金(第50条)

許可申請書や変更届に虚偽の記載をした場合などが該当します。

③ 100万円以下の罰金(第52条)

主任技術者や監理技術者を現場に配置しなかった場合、行政庁の検査を拒んだ場合などが該当します。

④ 10万円以下の過料(第55条)

許可標識を店舗・現場に掲示しなかった場合、帳簿を備え付けなかった場合などが該当します。「過料」は刑罰ではなく、行政上の秩序罰である点で①〜③とは性格が異なります。

法人には別途「1億円以下の罰金」(両罰規定)

第47条第1号などの違反については、実行行為者(代表者・従業員など個人)が処罰されるだけでなく、法人にも罰金が科される「両罰規定」があります(建設業法第53条)。法人に科される罰金額の上限は1億円です。

つまり、無許可で500万円以上の工事を請け負った会社では、

  • 違反行為を行った担当者個人 → 3年以下の懲役 または 300万円以下の罰金
  • 法人本体 → 1億円以下の罰金

の両方が同時に課され得る、ということです。

監督処分:3段階で重くなっていく

刑事罰とは別に、国土交通大臣または都道府県知事が課す行政処分が「監督処分」です。軽い順に次の3段階があります。

  • 1. 指示処分 ― 違反行為や不適正事項について、改善のための具体的措置を命じる処分
  • 2. 営業停止処分 ― 1年以内の期間を定めて営業の全部または一部の停止を命じる処分
  • 3. 許可取消処分 ― 建設業許可そのものを取り消す処分

通常は①から段階的に重くなりますが、悪質な違反については①②を経ずにいきなり③が下されることもあります。

罰金刑以上 = 許可取消 + 5年間再取得不可

ここがおそらく実務上もっとも重い影響を持つポイントです。

建設業法では、罰金刑以上の刑に処せられると、建設業許可の「欠格要件」に該当します(第8条)。欠格要件に該当した時点で、現在持っている建設業許可は取り消されます。そして、

  • 取り消し処分から5年間は新たな許可を受けることができない
  • その間、軽微な工事(500万円未満)以外は請け負えない

という状態になります。実質的に、500万円以上の建設工事ビジネスから5年間退場、ということになります。一度の違反で事業継続が困難になり得る、極めて重い帰結です。

「代理店だから関係ない」は通用しない

前回の記事でも触れたとおり、

エンドユーザー → 代理店A → 代理店B → ソノーラ

という商流で500万円以上の無響室・防音室を流通させる場合、代理店A・代理店Bも建設業許可が必要です。「自分たちは販売しているだけで、施工はソノーラがやる」という理屈は通りません。建設業法上、請負契約の当事者になっている時点で、その契約者には許可が要求されます。

したがって、上述の罰則・監督処分・欠格期間のリスクは、メーカーだけでなく代理店・販売店にも等しく適用されることになります。

特定建設業に関する金額要件は2025年に変更されています

参考までに、2025年2月1日施行の改正で、特定建設業許可が必要となる下請代金の境界額が引き上げられています。

改正前下請代金合計が4,500万円以上(建築一式は7,000万円以上)
改正後(現行)下請代金合計が5,000万円以上(建築一式は8,000万円以上)

元請として工事を受注し、下請に出す金額の合計がこの基準を超える場合は、一般建設業許可ではなく特定建設業許可が必要になります。これを欠いたまま該当する下請契約を締結すると、上述の第47条(3年以下の懲役 or 300万円以下の罰金)の対象です。

まとめ

建設業許可は「持っていればより良い」というレベルの話ではなく、500万円以上の建設工事を請け負うために法律上必須のものです。違反した場合の帰結は重く、

  • 担当者個人への懲役・罰金
  • 法人への最大1億円の罰金
  • 行政による営業停止や許可取消
  • 取消後5年間の許可再取得不可

と、いずれも事業継続そのものを揺るがすレベルです。

ソノーラテクノロジーでは、自社の許可保有はもちろん、代理店・販売店との取引においても、適切な許可の保有を前提とした取引体制をお願いしています。「軽微な工事の範囲を超えるのに許可を持っていない」というケースが生じないよう、商流の組み立ての段階からご相談いただければと思います。

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