技術情報

工場設備の騒音対策

2026/06/24

音源別に見る、防音カバー・サイレンサー・防音壁・吸音・防振対策

工場設備の騒音対策では、単に「うるさい設備を囲う」「吸音材を貼る」「防音壁を立てる」だけでは、十分な効果が得られない場合があります。

騒音には、必ず次の流れがあります。

音源 → 伝搬経路 → 受音点

つまり、騒音対策ではまず、

  • どの設備から音が出ているのか
  • 空気中を伝わっているのか、床や配管を伝わっているのか
  • 作業者・敷地境界・隣接建物など、どこで問題になっているのか

を整理することが重要です。

当社では、工場製造ライン、送風機、クーリングタワー、圧縮機、プレス、ブロワー、配管、タービン、ブラスト、チラーユニット、ダクト、モーター、粉砕機、油圧ユニット、ポンプ、発電機、内壁反響騒音、工作機、コンベア、振動試験機など、さまざまな音源に対して、防音カバー、サイレンサー、防音壁、遮音・吸音工事、防振工事などを組み合わせた対策を行っています。

工場騒音対策で最初に確認すること

工場設備の騒音対策では、いきなり製品や工法を決めるのではなく、まず目的と現状を整理します。

騒音対策の目的を明確にする

同じ工場騒音でも、目的によって対策は変わります。

目的対策の考え方
作業環境を改善したい作業者位置での騒音低減を優先する
管理区分を改善したい測定点・作業環境測定の条件を確認する
近隣・敷地境界への騒音を下げたい屋外伝搬、防音壁、開口方向、設備配置を確認する
特定設備だけを静かにしたい防音カバー、サイレンサー、防振を検討する
工場内の反響を抑えたい内壁吸音工事、天井吸音、防音パーテーションを検討する

「設備がうるさいから防音したい」という段階では、まだ対策を決めるには情報が不足しています。
当社では、作業環境の改善なのか、近隣対策なのか、設備単体の低騒音化なのかを確認したうえで、対策方針を整理します。

現状の騒音レベルを把握する

騒音対策では、「うるさい」という感覚だけでなく、どこで何dBなのかを確認することが重要です。

確認したい項目は次の通りです。

確認項目内容
騒音レベル作業者位置、設備近傍、敷地境界などで測定する
周波数特性低周波・中周波・高周波のどこが問題か確認する
稼働条件常時運転、間欠運転、起動時、負荷時などを確認する
音源位置本体、吸気口、排気口、配管、床、壁反射などを切り分ける
伝搬経路空気音か、固体伝搬音か、ダクト・配管経由かを確認する
作業条件扉の開閉、搬入出、点検頻度、メンテナンス空間を確認する

ソノーラの技術情報でも、工場設備の騒音対策では、対策前に目的、騒音値、設備寸法、作業性、予算などを把握することが重要としています。

騒音対策の主な種類

工場設備の騒音対策では、次のような方法を組み合わせます。

対策内容主な用途
防音カバー騒音源を防音パネルで囲うブロワー、ポンプ、コンプレッサー、工作機械
サイレンサー吸気・排気・ダクト音を低減するブロワー、送風機、発電機、空調設備
防音壁音源と受音点の間を遮る屋外設備、敷地境界、工場内区画
防音室設備や作業エリア全体を囲う粉砕機、プレス、試験機、大型設備
吸音工事壁・天井などの反射音を抑える工場内反響、作業環境改善
防音パーテーション作業者側や局所エリアを遮音・吸音する作業場、設備間、局所対策
防振工事床・架台・配管への振動伝搬を抑えるポンプ、コンプレッサー、発電機
制振工事パネルや筐体の共振を抑えるダクト、鋼板カバー、機械筐体

これらは単独で使う場合もありますが、実際には組み合わせることが多くあります。

たとえば、ブロワーであれば、防音カバー+ 給気サイレンサー+排気サイレンサー+防振という組み合わせが候補になります。

チラーユニットであれば、防音壁+吸排気経路の消音+防振を組み合わせる場合があります。

工場内の反響騒音であれば、内壁吸音工事+天井吸音+防音パーテーションが有効になる場合があります。

音源別に見る対策の組み合わせ例

工場騒音対策では、音源の種類によって有効な対策が変わります。

下表は、代表的な音源と対策の組み合わせ例です。

音源主な騒音の特徴有効な対策例
ブロワー・送風機回転音、空力音、吸気音、排気音防音カバー、吸気サイレンサー、排気サイレンサー、防振
コンプレッサー・圧縮機機械音、吐出音、低周波音、振動音防音カバー、防音室、防振架台、配管防振、サイレンサー
ポンプモーター音、流体音、配管振動防音カバー、防振ゴム、フレキシブル継手、配管支持改善
チラーユニット・冷凍機ファン音、圧縮機音、低周波音防音壁、防音カバー、吸排気サイレンサー、防振
クーリングタワーファン音、水音、モーター音防音壁、吸音ルーバー、低騒音ファン、防振
ダクト・排気口ダクト内伝搬音、風切り音ダクトサイレンサー、消音チャンバー、吸音内貼り
モーター回転音、電磁音、軸受音防音カバー、局所カバー、制振、防振
プレス機衝撃音、構造振動、床伝搬音防音室、防音カバー、防振、制振
せん断機・切断機衝撃音、加工音、高周波音防音カバー、防音室、局所吸音、防音パーテーション
鍛造機大きな衝撃音、低周波振動防音室、防音壁、防振基礎、制振
粉砕機・チッパ高レベル騒音、衝撃音、摩擦音防音室、防音カバー、内面吸音、防振
ブラスト装置噴射音、衝突音、排気音防音室、防音カバー、排気サイレンサー、吸音工事
工作機械モーター音、切削音、加工音防音カバー、局所吸音、防音パーテーション
コンベアモーター音、ローラー音、接触音局所防音カバー、防音パーテーション、制振、防振
油圧ユニットポンプ音、モーター音、配管振動防音カバー、防振、配管支持改善、内面吸音
発電機・コージェネエンジン音、排気音、冷却ファン音防音カバー、排気サイレンサー、吸排気サイレンサー、防振架台
タービン高周波音、回転音、配管伝搬音防音カバー、防音室、配管防振、吸音工事
バイブレーター加振音、構造伝搬音、床振動防音室、防振架台、浮き床、制振
ダイナモ・各種試験機駆動音、冷却音、試験体音防音室、防音カバー、吸排気サイレンサー、防振
工場製造ライン複数音源の混在、反射音防音パーテーション、防音壁、局所カバー、内壁吸音工事
内壁反響騒音室内反射、残響、騒がしさ内壁吸音工事、BFB吸音板、防音パーテーション
プラント設備複数設備、配管、屋外伝搬防音壁、防音カバー、サイレンサー、防振、吸音工事
織機機械音、衝撃音、周期音防音カバー、防音パーテーション、吸音工事、防振

この表は、あくまで代表的な組み合わせです。
実際には、設備の形状、設置場所、運転条件、換気・排熱、作業性、必要低減量によって最適な対策は変わります。

代表的な音源ごとの対策例

ブロワー・送風機の騒音対策

ブロワーや送風機では、本体の機械音だけでなく、吸気音・排気音・ダクト伝搬音が問題になることがあります。

発生箇所対策例
ブロワー本体防音カバー、内面吸音
吸気口吸気サイレンサー
排気口排気サイレンサー
ダクトダクトサイレンサー、吸音内貼り
架台・床防振ゴム、防振架台
配管・ダクト接続部フレキシブル継手

ブロワーを防音カバーで囲う場合、換気や排熱を確保する必要があります。
密閉しすぎると、機器温度の上昇や吸排気性能の低下につながるため、給気・排気経路にサイレンサーを組み込んで、冷却性能と防音性能を両立させます。

チラーユニット・クーリングタワーの騒音対策

チラーユニットやクーリングタワーは、屋外設置が多く、敷地境界や近隣建物への影響が問題になりやすい設備です。

発生箇所対策例
ファン音防音壁、吸音ルーバー、低騒音ファン
圧縮機音防音カバー、防振
吸排気経路サイレンサー、開口方向の調整
架台・基礎防振ゴム、防振架台
近隣方向への伝搬防音壁、配置変更
建物壁面の反射吸音処理、防音壁配置の見直し

屋外対策では、音響性能だけでなく、雨、風、耐候性、排水、メンテナンススペース、構造安全性も考える必要があります。

コンプレッサー・ポンプの騒音対策

コンプレッサーやポンプでは、本体音と振動伝搬が同時に問題になることがあります。

発生箇所対策例
本体の機械音防音カバー、防音室
モーター音内面吸音、局所カバー
吐出音・流体音サイレンサー、配管経路の見直し
床への振動防振ゴム、防振架台
配管振動フレキシブル継手、配管支持改善
カバー内の反射BFB吸音板などによる内面吸音

ポンプやコンプレッサーでは、空気中を伝わる音だけでなく、床や配管を伝わる固体伝搬音にも注意が必要です。
防音カバーだけで効果が不足する場合は、防振や配管支持の改善を併用します。

プレス機・せん断機・粉砕機の騒音対策

プレス機、せん断機、粉砕機などは、衝撃音や加工音が大きく、防音カバーや防音室による囲い込みが有効です。

発生箇所対策例
本体の衝撃音防音室、防音カバー
加工部局所カバー、内面吸音
投入口・排出口遮音フード、吸音処理
床振動防振基礎、防振架台
作業者側への直接音防音パーテーション、防音壁
室内反響内壁吸音工事、天井吸音

この種の設備では、材料搬入、製品搬出、点検、清掃、安全装置との取り合いが重要です。
騒音を下げても作業性が悪くなると、実際の運用で使いにくい設備になってしまいます。

工場製造ライン・複数設備の騒音対策

工場内に複数の設備がある場合、最も大きい音源だけを対策しても、思ったほど全体騒音が下がらないことがあります。

状況対策例
複数設備が同時に稼働している音源ごとの騒音寄与を確認する
特定設備が支配的防音カバー、局所防音カバー
作業者側だけ下げたい防音パーテーション、防音壁
工場内全体が響く内壁吸音工事、天井吸音
ラインの一部だけうるさい局所カバー、制振、防振
レイアウト変更が可能音源と作業者の距離・向きを調整する

複数音源がある場合は、優先順位付けが重要です。
「一番うるさい設備」だけでなく、作業者位置で支配的な音源を確認したうえで、段階的に対策することが有効です。

工場内の反響・内壁反響騒音の対策

工場内では、設備から出た音が壁、天井、床、機械設備で反射し、空間全体が騒がしくなることがあります。

この場合、音源を1台だけ囲っても、十分な改善にならない場合があります。

問題対策例
工場内全体が騒がしい内壁吸音工事、天井吸音
会話がしにくいBFB吸音板、防音パーテーション
反射音で音源位置が分かりにくい吸音工事、レイアウト調整
作業者側だけ改善したい防音パーテーション、局所吸音
外部への音漏れもある遮音補強、防音壁、防音扉

吸音工事は、外部への音漏れを直接止めるものではありません。
主な目的は、室内の反射音を抑え、工場内の騒がしさや聞き取りにくさを改善することです。

外部への音漏れを下げたい場合は、遮音対策、防音壁、防音扉、開口部処理などを併用する必要があります。

対策を選ぶときの注意点

防音カバーは「囲えばよい」わけではない

防音カバーは、設備単体の騒音対策として有効ですが、単に囲うだけでは不十分です。

確認すべき項目は次の通りです。

確認項目内容
換気機器の冷却に必要な風量を確保する
排熱内部温度上昇を防ぐ
開口部吸気口、排気口、点検口からの漏音を抑える
作業性操作、点検、清掃、部品交換ができるようにする
メンテナンス性扉、着脱パネル、点検窓を設ける
振動カバー本体へ振動が伝わらないようにする
安全性非常停止、インターロック、監視窓を検討する

特に、ブロワー、コンプレッサー、発電機、油圧ユニットなどは発熱や換気が重要です。
遮音性能を高めるほど密閉性は上がりますが、冷却やメンテナンスとの両立が必要になります。

サイレンサーは風量・圧力損失も考える

サイレンサーは、吸気音・排気音・ダクト音の低減に有効です。
ただし、消音性能だけでなく、風量、圧力損失、設置スペース、メンテナンス性も確認する必要があります。

確認項目内容
必要風量設備運転に必要な風量を確保する
圧力損失機器性能に影響しない範囲に抑える
周波数問題となる周波数に合った消音構造を選ぶ
清掃性粉じんや油分がある場合のメンテナンスを考える
設置スペースダクト経路や周辺設備との取り合いを確認する

防音壁は高さ・位置・回り込みが重要

防音壁は、音源と受音点の間を遮る対策です。
ただし、音は壁の上部や側面から回り込むため、壁を立てれば必ず十分に下がるわけではありません。

確認項目内容
音源高さファン、排気口、機械本体の高さを確認する
受音点高さ作業者耳元、敷地境界、近隣窓位置を確認する
壁の高さ回折を考慮して設定する
壁の位置音源に近いか、受音点に近いかで効果が変わる
反射反射音が別方向へ回らないか確認する
基礎屋外では風荷重や基礎設計も必要になる

騒音対策を進める手順

Step 1. 目的を決める

まず、何を改善したいのかを明確にします。

  • 作業者の耳元騒音を下げたい
  • 敷地境界騒音を下げたい
  • 設備単体の騒音を下げたい
  • 工場内の反響を抑えたい
  • 管理区分を改善したい
  • 近隣からの苦情を解決したい

Step 2. 音源を特定する

次に、どの設備・どの部位が支配的な音源かを確認します。

  • ブロワー本体か
  • 吸気口・排気口か
  • ダクトか
  • 配管か
  • モーターか
  • 床や架台の振動か
  • 工場内の反射音か

Step 3. 伝搬経路を確認する

音がどの経路で伝わっているかを確認します。

伝搬経路
空気音機械本体から空気中へ放射される音
固体伝搬音床、架台、配管を伝わって別の場所で音になる
ダクト伝搬音ダクト内を伝わるファン音・排気音
開口部漏音扉、窓、換気口、点検口から漏れる音
反射音壁、天井、床で反射して増える音

Step 4. 対策を組み合わせる

代表的な組み合わせは次の通りです。

目的組み合わせ例
ブロワー騒音を下げたい防音カバー+吸気サイレンサー+排気サイレンサー+防振
ポンプ騒音を下げたい防音カバー+防振ゴム+フレキシブル継手
チラー騒音を下げたい防音壁+吸排気消音+防振
プレス騒音を下げたい防音室+防振+制振+局所吸音
作業者側を守りたい防音パーテーション+局所吸音
工場内反響を下げたい内壁吸音工事+天井吸音+BFB吸音板
屋外設備の近隣対策をしたい防音壁+防音カバー+サイレンサー+開口方向調整

Step 5. 対策後に確認する

対策後は、効果を測定して確認します。

  • 対策前後の騒音レベル
  • 周波数別の低減量
  • 作業者位置での改善量
  • 敷地境界での改善量
  • 漏音箇所の有無
  • 換気・排熱の状態
  • 作業性・メンテナンス性
  • 安全確認のしやすさ

騒音対策は、設置して終わりではありません。
対策後に実際の運用条件で確認することが重要です。

まとめ

工場設備の騒音対策では、音源の種類によって有効な対策が変わります。

ブロワーや送風機であれば、防音カバーと吸排気サイレンサーの組み合わせが有効です。
チラーユニットやクーリングタワーであれば、防音壁、吸音ルーバー、吸排気経路の消音が重要になります。
ポンプやコンプレッサーでは、防音カバーだけでなく、防振や配管支持の改善も必要になる場合があります。
工場内の反響が問題であれば、内壁吸音工事や防音パーテーションが有効です。

重要なのは、最初から製品を決めることではありません。

  • 音源はどこか。
  • 音はどの経路で伝わっているか。
  • どこで、どの程度下げたいのか。

この3点を整理したうえで、防音カバー、サイレンサー、防音壁、吸音工事、防振工事などを組み合わせることが、失敗しない騒音対策の第一歩です。

当社では、騒音源の種類、騒音値、主要周波数、設置環境、換気、排熱、作業性、メンテナンス性を確認したうえで、現場に適した騒音対策をご提案します。

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