技術情報
タレルの部屋
2022/04/10
- 無響室・防音室のソノーラ
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以前、金沢21世紀美術館に訪問したことがあります。
そこにタレルの部屋（ブループラネットスカイ）という常設展示作品があります。
タレルの部屋はジェームズ・タレルという光と空間を題材とした作家の作品です。
この部屋は重厚な壁天井で造られており、天井部に四角い開口部が設けられています。その開口部からは空が見えます。
この部屋の大まかな仕様は下記です。
| 素材・技法 | モルタル、彩色、御影石、戸室石 | |
|---|---|---|
| サイズ | 部屋の内寸 | H850×W1,117×D1,117cm |
| 開口部 | W560×D560cm | |
通り過ぎていく光をとらえ、人間の知覚体験（見ること、感じること）に働きかける作品。空間に入ると、正方形の天井の中央部分にある正方形に切り取られた空へと視線が自然と向かいます。ここでは、四季を通じて朝から夜まで絶え間なく変化する光を体感することが促されます。しばらくこの空間に身を置いてみると、普段は気づかない感覚にみまわれるでしょう。「どのように光を感じるか」というタレルの問いかけは、私たち自身が普段は気づいていない知覚を呼び覚まそうとするのです。
筆者はこのタレルの部屋の中に長時間滞在しました。そこで不思議な体験というか、気づきがありました。
まず、タレルの部屋は壁が剛壁ですので、音が反射しやすい造りであり、通常は音響障害が発生しやすいです。いわば、残響室のような状態です。このような部屋では、人の会話などが聞き取りにくいくらいの居心地の悪さすら感じるでしょう。
ですが、タレルの部屋は非常に居心地が良いです。その理由として主に3点考えられます。
タレルの部屋の立面断面は下記のようになっています。
四方には石造のベンチがあり、腰壁が斜めになっています。
居心地の良い理由1
音が腰壁の斜め部分に反射し、部屋の天井部へと向かう。つまり人の会話などが平面の壁に跳ね返り難い造りである。
居心地の良い理由2
部屋の内部で発生した音は、ある程度天井の開口部から空に向かい逃げていく。
居心地の良い理由3
全体が剛壁で囲まれており、遮音性能が高い。つまり部屋の内部は静かである。
おそらく、ジェームズ・タレルは、天井から見える空、空から注ぐ光が時間により移ろいゆく様、そして心地よい音響も考えてデザインをしたのではないでしょうか
そして、タレルの部屋から筆者は今後の音響設計に関わる多くのヒントを得ることが出来ました。
例えば、音が空に向かい行きっぱなしで帰ってこない。これは、我々は吸音で処理をした無響室にも近いですし、密閉された空間に換気をするためのサイレンサーダクト、サイレンサーを経て部屋の外に出た音の先の経路・・等
タレルの部屋の考えが、今後の開発に繋がる可能性はあります。
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無響室・防音室メーカーであるソノーラテクノロジーでは、東京、静岡、愛知、兵庫を拠点に、全国対応が可能です。音響測定・調査・診断～設計製造・施工・保証迄の自社一貫体制です。また御殿場市の「富士山テクニカルセンター」には無響室・防音室のショールームがあります。実際に測定器を使用した状態で、当社製品の高い性能を確認いただきながら、独特の無響空間を体感することができます。またショールームの他に、当社紹介の映像、工場の見学も合わせて実施しております。国内にて無響室を無料開放している機関はほとんどありません。製品の購入を検討されている方、当社へ興味をお持ちの方、 一般の方、メディアの方など業務外での御利用も可能です。是非お越し下さい。
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